三之丸天王祭〜上花車町 紅葉狩(もみじがり)車

山田鉦七著「郷土の山車写真集」より

文政3年(1820)以前の作。
広井村の見舞車九輛の内の一つで文政年間に上花車町で造られる。

●人形

からくり人形は能の紅葉狩から取材したもので四体が乗る。
大将人形の平維茂、鬼女とも呼ばれる更科姫、従者であるサンピン、前棚には唐子の麾振りが乗る(麾振り台に梅の彫刻がある)。
このからくりの見所は更科姫が一瞬の内に美しい姫から鬼女となる(面かぶり)ところである。
<製作年代>
平維茂 --- 製作年代、作者は不明である
サンピン--- 製作年代、作者は不明である
更科姫 --- 安政4年(1857)竹田源吉作
麾振り --- 弘化3年(1846)竹田源吉作と言われている
麾振り台--- 嘉永元年(1848)人形台枠に墨書き銘がある 

明治26・36・39・40・41・42・45・大正2年(1903・06・07・08・09・12・13)に修理の記録があり、この人形の修理には玉屋庄兵衛が関わっている。

●大幕

猩々緋の枠に白地に数頭の鹿を描いている。其の下絵は森高雅の筆と伝承されている。古くは四面とも使用していた。前幕を猩々緋に金糸で紅葉狩と縫をいれたものに替える。

●水引幕

金襴の水引幕

●装飾

高欄は出高欄で、高欄や前棚の下には紅葉の彫刻が施され、上山正面の高欄両隅から金幣を出し、前棚両隅に行灯を立てる。その行灯と高張提灯に許紋の葵紋を用いている。天井は格天井である。一階前部の手摺りに紅葉と幔幕の彫刻があり酒井蔵元の作であり明治45年(1912)の作と思われる

●改修

戦後ではあるが昭和28年(1953)、昭和42年(1967)に大修理が行なわれている。

●囃子

道行囃子----「車喜利」「三番叟」「狂言神楽」「唄神楽」「神楽」「楽」「早神楽」「七間町くずし」 人形囃子----「出端(二ノ句)」「舞の手(中の舞)」「舞働き」の3部構成になっている