筒井町天王祭〜湯取車(ゆとりぐるま)

湯取車は名古屋市内現存の山車では最も古い歴史のある山車で、万治元年(1658)に東照宮の祭礼車として桑名町(現中区丸の内2)で建造された「湯取神子車」がその起源です.

天保2年(1831)に同町が新しく山車を建造した際に、この古車を当時の情妙寺前が譲り受けたのが現在の湯取車です.
東照宮祭の山車は昭和20年の空襲ですべて焼失しており、この筒井町に残る湯取車が現存する唯一の山車となっています.

からくり人形は安倍晴明の前で、神子が両手に持った笹束で釜の湯を振りかける仕草をすると、湯の花と呼ばれる紙吹雪が吹き出すからくり.
山車名の由来ともなっている「湯取り神事」を表現しています.
また、前棚には笛吹きと太鼓打ちの2体の人形が乗り、笛吹きは笛を吹く所作が鼻にあたるところから「鼻こすり」の愛称で親しまれています.

山車幕は2種類あり、猩々緋無地幕に筒井町の金糸縫いと白羅紗に麒麟・鳳凰・亀の刺繍の水引幕は明治7年に造られた山車幕の意匠を復元したものです.(上記写真)
また、猩々緋・紺・緑の三色縦継ぎの大幕と、森高雅下絵といわれる猩々緋に雲龍の刺繍の水引幕は、東照宮祭に登場していた当時の幕を平成4年に復元されたものです.

「雨降り囃子」と呼ばれる個性的な囃子が特徴で、帰り囃子には「しんぐるま」を奏します.

筒井町天王祭の詳細

湯取車の詳細

若宮八幡社に奉納する湯取車
本町通を曳行する湯取車
東照宮に奉納する湯取車