出来町天王祭〜西之切「鹿子神車」(かしかじんしゃ)
鹿子神車は新出来町西之切が所有する山車で、出来町の3輛で唯一戦災の焼失を免れた山車で、100年前の300年祭にも参加した山車です.
この鹿子神車は名古屋で唯一の楫方集団「二番永田組」によって運行され、楫方・腰回り(梃子)の力や技が見事なことから注目を集めています.
山車は若宮八幡社祭礼車として宝暦11年(1760)に建造された住吉町の「菊慈童車」で、明和9年(1772)に住吉町が新たに山車を建造したことから、文化7年(1810)頃に西之切が住吉町からこの古車を譲り受けたものと伝えられます.
また台輪・輪は玉屋町から購入とも.
昭和62年に漆・金箔貼りなど解体修理が行われ赤幕などが新調されています.
幕は猩々緋で前飾に新出来町の町名を黒糸で刺繍しています.
水引幕は白羅紗に孔雀の金刺繍で、天保12年の制作.その下絵は森高雅の筆と伝えられています.
また、もう一組所有する「白羅紗に雲龍の金刺繍」の水引幕は、夜幕として使用しますが、中日ドラゴンズの優勝した年の名古屋まつり山車揃にはこの龍の水引幕で登場しています.
からくりは小唐子が蓮台に倒立し太鼓を叩き、中唐子(お梅さん)が団扇太鼓を叩きながら左右に飛び回ります.中唐子の素早い動きも見もの.
若宮八幡社に奉納する鹿子神車
本町通を曳行する鹿子神車
東照宮に奉納する鹿子神車