大山車まつり日記

第24回 若宮八幡社奉納


境内の西側(B)

境内に集った9輛のうち、旧若宮祭車の河水車と鹿子神車、そしてお膝元の若宮祭福禄寿車を別にすると、他の6輛はいずれも若宮八幡とは縁のなかった山車だ。おそらく若宮八幡社の境内に初めて轍(わだち)を残した山車だろう。
歴史的な出来事である。

まだ境内がざわついている9時48分、奉納は始まった。
ちなみにこの大山車まつりだが、この若宮境内を初め最後までアナウンス等は一切無い。
すべての行事は唐突に始まるのだ。
「これより、名古屋市東区出来町天王祭の西之切鹿子神車が若宮八幡社に奉納いたします。鹿子神車はその昔・・・」
などと山車の紹介などもない。


からくり人形を奉納(C)

この大山車まつり、案外独りよがりなのである。
個人的にはとても好ましいと思うが・・・

その奉納順は次の通りであった。
まず先陣は出来町天王祭の鹿子神車、以下河水車、王羲之車と出来町の3輛が続く。そして若宮の主(あるじ)福禄寿車をはさんで筒井町の湯取車、神皇車、そして中村の唐子車、二福神車、しんがりは紅葉狩車という順。
境内の西側に並んだ9輛が順番に1輛ずつ神前に進み、各々渾身の技で山車を正面に向けからくりを奉納.そして再び列に戻るという次第。

拝殿前に進んだ山車は左に90度向きを変えると拝殿に正対するのだが、それだけではなく各車思い思いの方法で拝殿に正面を向けた。ここでは多くを書かないが概略だけ記すと。

鹿子神車(本八重~奉納~本八重)
河水車(半八重~奉納~90度
王羲之車(半八重~奉納~90度
福禄寿車(半八重~奉納~半八重
湯取車(90度~奉納~90度
神皇車(90度~奉納~90度
唐子車(半八重~奉納~90度
二福神車(本八重~奉納~本八重
紅葉狩車(半八重~奉納~90度)
であった.

途中福禄寿車のみは元の位置に戻らず、鳥居脇に待機した。

八重廻し

※「半八重」とは今回の場合、左へ90度(1/4回転)向きを変えると最短で神前に正対するところを、右回りに3/4回転(270度)回転して神前に正対させることをいう。
また、「本八重」は左回りに90度回り、さらに1回転.つまり90度+360度で450度(5/4)回転させて神前に正対させることをいう。
ちなみに180度(半回転)するのをどんてん(またはどんでん)というが、ここではあり得ない。

事前に計画表を見せられたときは、予定より遅れるんじゃないかと一人危惧したのだが、いざフタを開けてみると、スムーズで歯切れがよい。
奉納を終えた山車が戻る頃には次の山車が既に動き出し、中途ですれ違うという具合。
よほど進行次第が周知徹底されているのが見て取れ、誠に清々しい。

次回より若宮八幡社の奉納を1輛ずつ写真と動画で紹介する。
※次回以降で1輛ずつ動画を紹介するが、下の動画は3輛ずつにまとめたものである(内容は同一)

□動画~若宮八幡社に奉納~鹿子神車・河水車・王羲之車(撮影:MASA氏)


□動画~若宮八幡社に奉納~福禄寿車・湯取車、神皇車(撮影:MASA氏)


□動画~若宮八幡社に奉納~唐子車・二福神車・紅葉狩車(撮影:MASA氏)