大山車まつり日記

第56回 東照宮奉納~湯取車


東照宮前の湯取車(N)

湯取車はかつて東照宮祭で曳かれていた山車で東照宮に深く関わり合いがある。
この湯取車の起源は万治元年(1658)から参加した桑名町(現中区丸の内2)の湯取神子車である。湯取神子車は上長者町の二福神車とともに東照宮の祭車として初めて屋根が付いた山車で、この形態が発展して現在の名古屋型になったといわれる。

天保3年(1832)に湯取神子車の新造により、不要になった古車を浄妙寺前が譲り受けたのが現在の湯取車である。
後述するが昭和20年の名古屋空襲により9輌の祭車をすべて失ってしまった東照宮祭にとって、古車といえども唯一残る貴重な一輌で、かつ現存する山車で最も古い歴史をもつ山車である。

このように東照宮ゆかりの湯取車は今回の曳行がいわゆる里帰りになるわけだが、過去2度この湯取車は東照宮まで曳行されている
平成20年(2008)に98年振りという湯取車の東照宮御社参が行われ、平成30年(2018)には東照宮御鎮座400年を記念して曳行された。

※かつて湯取車を所有した「桑名町」は、この東照宮のある長島町通の1本西の桑名町通に面した町である。

□動画~東照宮奉納~湯取車(撮影:その信号左折で。氏)


□動画~別アングルから~湯取車(撮影:nova)


□写真集~東照宮奉納~湯取車

鳥居前に到着した湯取車(H)

文政5年(1822)に描かれた東照宮祭礼図(徳川美術館蔵)に描かれている湯取神子車には赤・緑・紺の縦継の大幕と、猩々緋に金龍の水引幕が描かれている
現在使用している幕は平成4年(1992)に同じ意匠で復元新調されている(N)


(H)
(N)
(H)
からくり人形の奉納(H)

からくり演戯は湯取神事
湯の花に見立てた紙吹雪が舞う(G)


奉納が終わり木遣りの後に曳き出し