さて、先頭の福禄寿車が錦通を渡って御幣をふりふり近づいてやってきた。
私が陣取っているのは本町通と袋町通が交わる「袋町通本町」の北西角だ。(判りやすくいうと錦通と桜通の中間辺り)
現在の住所でいえば名古屋市中区錦3丁目となるが旧町名では「上玉屋町」。
この本町通だが、今や往時を偲ぶ町並なんてものは南から北までどこを探してもどこにも見当たらない。町並を形成しているのはオフィスビルと商店と飲食店ばかりである。
名古屋開府以来この本町通は大店小店が軒を並べていたというから、それが現代化したと思えばいいのかもしれない。
もっとも今どき余程の田舎か町並み保存に力を入れているところでもない限り、良き時代を偲ばせる街路など見当たらないのだけど。
だからといって山車の背景に派手な飲食店の看板や店構えが見えては面白く無いし見栄えが悪い。
幸いにもこの袋町本町はそのようなものは見当たらず、万兵ビルなどが背景となって案外落ち着いてみえる。偶然だがここで良かったと後で画像を確認して思ったのだった。
錦通の交差点が関所?状態になったのか、その手前から山車がずらりと並んでいるのが遠目に見える。
一向に動く気配がないと思ったらどうやら時間調整だったようで、正午を過ぎて山車が動き出し交差点を渡ってこちらにやってくるときには適度な間隔になっていた。
若宮八幡社のような興奮状態ではないが、次々にやってくる山車にテンションが高まるのがわかる。
ここに居たのは時間にして午後0時からの約20分間。そう言えばこの日昼食を食べたのか記憶にないし、メモにも残していない。
多分食べなかったのだろう。
朝食も食べる時間がなかったと思うから、今思えば空腹で写真を撮っていたことになるが、山車祭りの撮影では良くあることである。
この頁の撮影はすべてnovaである。
河水車(N)